この秋、行きたいところ

ついにきました。
秋はね。

涼しい風が吹いてきたと午後気づいてきました。

そうだね。「秋になると、どこかへ行こうか」と9月に生まれた友人による毎年の宿題。

しかし、当面、俺もう旅行のために旅行に行くタイプに戻れないと思います。旅行のための旅行ってちょっと贅沢ではないかと気がしますから。

だが、大切な人を訪ねるとか、仕事上などの必要があれば行こうと思っています。

男の一生は、二人の女性に常に左右されるそうです。一人は母親、もう一人は女房です。俺の場合、自分の肉親である母親はもちろんですが、もう一人は日本にいた時期にいつも俺の悲しいことも馬鹿馬鹿しいこともすべて耳を傾けてくれたOさんという70歳過ぎ女性です。Oさんは20年間以上に渡り、山手線の駅前にある宝くじ売り場に勤務していました。青森県出身のOさんが子どもの頃、丁度太平洋戦争が終わったばかりで、不作の中で食べ物があまりなかったので、故郷から東京親戚の家に身を寄せてきました。高校卒業後、住み込みの仕事を始めました。

だが、彼女にとって、これまでの人生の中で、もっとも辛いことには飢饉より日本語らしくない俺の日本語を推測した瞬間ではないでしょうか。その代わり、俺も彼女とテクシー運転手さんであるご主人とのラブストーリー(お二人も60歳過ぎに出会った)を一通り聞いて差し上げましたね。赤い「バイク」(自転車より二輪電動車です、名前は忘れてしまいました!)で移動する彼女の大ファンにもなりました!

実は、彼女は近年、背中の骨が歪んだ状態になってしまいました。電車などで長時間立つと痛くなる次第。お宅でお皿を洗っても座るしか有りません。そういうわけで、香港に来られる訳ではないと思います。

ところで、311に彼女に連絡してからまた半年になりました。今夜、風がついに袖に入る瞬間、落ち葉が彼女の宝くじ売り場にぼろぼろ落ちるシーン、そして、彼女が厳冬の時に売り場に積み上がた雪を片つけたシーンも次々に思い出した…

この秋、彼女の売り場に落ち葉を拾いに行きましょうか。